CUA TECHNOLOGY DAY 2006 に行ってきました

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標題のカンファレンスに行ってきました。
ずばり、Ruby On Railsにフォーカスしたイベントで、非常に興味深い内容でした。

写真はパネルディスカッションでのひとこまです。

追記にて、内容を報告します。

<CTCさん講演>

まず、主催であるCTCさんから、Rubyに対する取り組みの報告がありました。
CTCさんとNaclさんの協力関係がスタートしたのは実は意外と最近で今夏からだそうです。

以下、気になったキーワードを。

・開発ニーズは「再利用性」→「生産性・保守性」重視へ

漠然とした、再利用性に対する懐疑的な見方が根底にあるようです。実際、いくらやっても再利用する機会は結局訪れない、なんていうことも多かったりしますよね。

・Java側もJRuby,J2SE6などでRubyを取り込む

Java陣営もRoR関連のムーブメントは十分認識しているようで、相反するよりも融合していこうという方針のようですね。

・堅いシステムはJava、Web2.0はRuby

やはり、日本の場合、RoRを気にしている人は、Java開発者が多いのでしょうか。CTCさんもそうでしたが、全体を通して、Javaとの対比をふれる場面が多かったと思います。

<Nacl井上社長、まつもと氏講演>

続いて、Naclの井上社長、まつもとさんの講演がありました。Naclさんは島根県松江市に本社がある、地方発のオープンソースカンパニーなんですね。以下、印象に残ったキーワードを。

・地元密着なコミュニティ

Naclさんは地元の自治体と連携した活動をたくさん行われています。
地元のテレビ局でもとりあげられたり、注目されているようです。

・個人ベースでの開発、メンテナンスを奨励
・OSSの発展を阻害しないような事業のあり方

Naclの社員が行っているOSS開発は、ほとんど全てのものが個人ベースでの開発、つまり会社の業務命令としてやっているわけではない、ということでした。
いいものを作った→よし、即商売だ、としてしまうと、開発者のモチベーションなどでOSSとしての歪みが出てしまうので、このあたりは個人の意志を尊重されているのでしょうね。

さらに井上社長のプレゼンではRails Platformのデモもありました。単なるUIの日本語化だけではなく、日本語での開発を支援する機能が数々追加されているのが非常に印象的でした。

まつもとさんの講演の中では、

・ビジネス=ソフトウェア

というキーワードが印象的でした。つまりITがビジネスのコアまで浸透している現状においては、ビジネスの変化はソフトウェアの変化とイコールになっており、ソフトウェアが変化に対応できないと言うことはすなわちビジネスの停滞を意味し、企業にとっては即死活問題になる、ということです。
そのため、ビジネスの停滞を防ぐためには、ソフトウェアの変更が素早くできることが重要となってきます。ソフトウェア開発が開発生産性の向上、変化への柔軟性を優先する傾向が強くなってきているのはそのためである、と。開発生産性や柔軟性の高い言語、開発環境は概して実行速度の向上とは相反する結果になることが多いのですが、そこは、ハードウェア資源でカバーする、すなわちカネでなんとかなる部分(というと言い方が悪いですが、少ない手数で効果の上がる方法という意味で)はそれで済ませ、ソフトウェア資源の柔軟性を確保する、というのが開発トレンドになっているのだ、と。

<パネルディスカッション>

最後にパネルディスカッションでした。モデレータはこの種のイベントではおなじみの星暁雄氏。
今は、「日経Javaレビューの星さん」ではなく、「コモンズ・メディア代表の星さん」なのですね。なんとなく、以前お見かけしたときより、ファッションが格好良くなっていたような気がしました。いわゆる「ちょいワルオヤジ」な感じなのでしょうか、フリーランスになられて、そのあたりも意識されているのかな?

やはりというかなんというか、テーマが「J2EE使いが語るRuby On Rails」ですから当たり前なのですが、内容はJavaとRoRの比較が主でした。

スタートアップが早く、すばやい変更ができる、というのがRoRの利点。
信頼性(実績があるという意味での)についてはJavaにまだ分がある。

というのがおおむねの論調であったと思われますが、パネラーの方の興味深い発言としては、

「実装がコストのかかる作業」である→実装は安くできるところでコストを圧縮しようという流れになる→オフショアへの発注→国内エンジニアの空洞化。しかし、RoRでもし実装コストが少なくなれば→内製化が進むかもしれない→国内SEの復権?

という可能性もある、というお話がありました。

パネルディスカッションにはありがちですが、最後は「とにかく使ってみてください、良いですから」という流れで締めとなりました。Javaが今よりもっと熱かった頃のカンファレンスのパネルディスカッションでも、そういうような流れだったのを思い出してしまいました。当時は、既存の技術に対抗する急先鋒として語られていたJavaが、今や既存勢力としてみられてしまっているわけですね。本当にこの業界の流れは速いものです。

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