[雑記] 世襲、ってそんなに悪いことなんでしょうか

なんとなく、最近のニュースなどを見ていると、「世襲制限」という言葉がよく聞かれますね。

日常生活の中で「世襲」なんていう言葉を使うことは滅多にないので、「世襲」というとニュースにおける「政治家の世襲」が思い浮かぶことが多いのだと思うのですが、そのせいか「世襲」という言葉そのものが「悪いこと」の代表みたいなイメージになっているような気がします。

親の稼業を継ぐことが世襲であるとするならば、小売店や飲食店、農家の世襲だってあるでしょうし、会社の経営者の世襲だってあるでしょう。でも、先代の息子や娘が親の稼業を継いだからといって「あの店は世襲だ、けしからん」となることはほとんどないと思います。会社の経営者の世襲にしても、心情的には「けしからん」心理が働くことはあるかもしれませんが、結局はその世襲経営者がどのような経営をするかによって評価すればよいのです。2代目が初代よりさらに会社を大きくすることができたりするのであれば別に世襲でもかまわないと思います。もちろん世襲だから会社が安泰であるなどという保証はどこにもないわけで、おかしな経営をすればあっという間に市場から淘汰されてしまうでしょう。

ことに、政治家においては、日本は曲がりなりにも民主主義国家ですし選挙は普通選挙制です。たとえ、世襲政治家であっても、おかしな政治ばかりやっていれば落選の憂き目にあうこともあるわけで、そこは選挙民の選択に委ねられているわけです。

当の政治家のみなさんまでが、そろいもそろって「世襲はけしからん」みたいなことを言っておられるようなのですが、「世襲の何が悪いのか」という疑問を呈する政治家はいないのでしょうか。悪いのは、世襲そのもの、ではないような気がするのですが。

世襲は悪、みたいなイメージだけがあまりにも先行してしまうと、世の中のいろいろな世襲がないがしろになってしまい、残すべき技能や伝統文化のようなものがどんどんと失われてしまうのではないかという気がしてしまいます。職人さんの高い技能も、跡継ぎがいないばかりに後世に残らず絶滅していく、そんな例が多いと思うのですが、そういう風潮にこの「世襲は悪」のイメージが影響しているのではないかと、少々大げさかもしれませんが思ったりしています。