独自路線の難しさ~auの「オープンアプリレイヤー」

Java関連の研修事業を生業にしようとしている会社の人間なのに、Javaに関連した
話をちっとも書いていませんでしたので、今日はちょっとニュースに反応するエントリ
など描いてみようと思います。
(といいつつ、あんまり携帯Java事情には詳しくないので、間違ってたらすいません)

携帯電話でJavaが動くようになって久しいですが、気がつくとau端末はBREWに
完全移行していて、現行ラインアップでJavaの動く端末がない状態だったのですね。
BREWのことは知っていましたが、ひっそりとEZplus(でしたっけ?)も動くのかと
思っていた私はその事実にちょっと驚いてしまいました。

最近、ある会社さんの勉強会に参加させていただいて、そのときに携帯Javaアプリ
の近況についてうかがうことができたのですが、携帯アプリ開発者の本音は、
「まずiアプリを作る、余裕があったらVアプリ(Vodafone→Softbank)を作る、で、
気が向いたらBREWアプリを作る」というような優先順位なのだそうです。

当然、ベンダーとしてはマーケットの大きいところから着手したいわけですから、
iアプリが最初になるのは当然でしょう。シェアから言えばauのBREWが続くはず
です。実際、私は携帯アプリの現状に詳しくありません(常用している端末が
WILLCOMのTTなので・・・)ので、現実にリリースされているアプリ数がどうなのか
はよく知りません。でも上記の携帯アプリ開発者の本音、というのが事実だとすれ
ば、契約数シェアでは2番手でありながらも、BREWアプリ開発は優先順位が
最下位になってしまうわけです。

それはなぜでしょう?答えは簡単、「プログラムの互換性」です。iアプリはMIDPと
いう携帯Javaのスタンダード規格からするとだいぶクセのある独自規格になっては
いるのですが、日本の携帯Java環境の先駆けでもありシェア1位のドコモが採用
しているので、誰しもその環境をベースにまずはアプリを作るわけですね。

で、そのアプリと比較的互換性が高いのがVアプリ(MIDP)なので、シェアは3位
かつ2位と大きく水をあけられているものの移植のしやすさで利があります。

キャリアができあがったシステムを提供し、ベンダーがデータのみを製造するので
あれば、独自性云々はそれほど問題にならないでしょうが(着うたとかGPSナビ
とか?)、アプリとなるとそうはいかないのでしょうね。トップシェアのプラットフォーム
と非互換ということは、よほどのアドバンテージがないといけないわけですが、
残念ながらBREWは日本においては(?)そこまでのアドバンテージを見いだせ
なかったということなのでしょうか。オリジナル、独自性というのは響きが心地よい
言葉ではあるのですが、ビジネスベースではそう単純なものではすまされないと
いうことのようです。

MNPを前にして各社の戦略は、表向きは各社の独自性を追求して他社との
差別化、ということになっているのかもしれませんが、実際のところは、「他社との
同質化」にあるようですね。Softbankはどうかわかりませんが、少なくともDocomo
とauにあってはそういう感じがします。つまり、相手にあって自社にはない、という
サービスがないようにしていくということです。
MNPで○○に移ろうと思ったけど、お気に入りの△△サービスがないからやめた、
というのをできるだけなくしたいわけですね、きっと。

今回のauの判断も、そういったところが大きいのかもしれません。
企業戦略のあり方の一つとして、参考になりますね。